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理科実験の試み
生物教員である作者による理科実験の実践や試みの紹介
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はじめに
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方法
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ニワトリの脳の観察

作業時間:約1時間 1時間の授業でも可能ですが、時間的にちょっと窮屈です。



■ はじめに ■
  • 脳が大脳・間脳・中脳・小脳・延髄のおよそ5つの部分からなることを理解します。
  • 教科書で取り上げられる脳はヒトの脳ですが、実際に解剖することはできません。そこで、簡単に手に入れられるニワトリの脳を用いて、脳の観察を行います。
  • 図は第一学習社からの引用です。



■ 用意するもの ■
  1. ピンセット,解剖台など。ハサミは断面を作るためだけに使います。

  2. 70%エタノール溶液・・・油落としと、怪我の時のために。
  3. 酢酸オルセイン・・・他の染色液でも可能です。
  4. ペトリ皿・・・なくても可。脳を置くための皿として使用。
  5. ドッグフード(市販の鶏頭水煮缶)・・・某ディスカウントショップで130円程度です。 一缶あたり十数個入っていますが、結構当たりはずれが多く、ぐちゃぐちゃになっていて使えるものが10個程度なんてこともあります。



■ 方法 ■
  1. 市販の鶏頭は非常に油っぽいので、70%エタノール溶液につけます。
    5分ぐらい漬ければ十分ですが、数週間漬けておいても変化はしません。頭を目一杯にビーカーに入れるとあっという間に油まみれになってしまいます。ですから、エタノールに漬ける前にぬるま湯や水道水で油を流した方が良いです。
    ここまでの作業は授業の前までにやっておきます。
  2. その後、エタノールから取り出し、頭皮をはぎ取り、頭骨をはずします。
    これを生徒たちが行います。非常にもろくなっているので、ピンセットと手で行った方が無難です。はっきり言ってもろいのでハサミなどは使いません。



■ 結果 ■
  1. 缶詰から取り出した鶏頭(上から撮った写真)。

  2. 鶏頭(側面から撮った写真)。

  3. 頭骨を半分取り除いたときの写真。中に見えるのは大脳(左脳)。

  4. 頭骨をすべて取り除いたときの写真。
    ※頭骨はヘルメットのように脳に被さっているのではありません。
     クルミのように、頭骨の一部が脳の間に入り込んでいます。
     脳を傷つけないように頭骨を砕きながらはずさなくてはなりません。

  5. 手前の大きなふくらみが大脳。下に見えるYの字型は視神経。

  6. 上から見た図。ちょっとピンぼけしています(^^;)

  7. 下からみた図。

  8. 右側を向いているときの断面図。
    やはり鳥類の場合、小脳が異常に発達しています。
    空中を自在に動き回るためです。まあ、ニワトリは飛べませんが・・・

  9. スケッチの様子。



■ コメント ■
  1. 素材はドッグフードでも、やはり”恐ろしい”とか”気持ち悪い”と感じる生徒が随分いるようです。
  2. また、ヒトの脳の構造を憶えてから臨んだ解剖実験でも、素材(動物)が変わってしまうと各部を確認するのに戸惑っていました。
  3. 生徒からは、
     「思ったよりも小さかった」
     「大脳にしわがなかった」
     「小脳が大きかった」
     「シーチキンのような臭い(味)がした」
    などの感想がありました。
  4. できれば各部をばらし、容積の比較をして小脳が発達していることをデータで示したかったのですが、自分の力量不足のせいか、鳥類の場合、どこからどこまでがどの脳だということが厳密に判別できませんでした。
  5. 脳の各部を確認すること、さらには図説等で見たヒトの脳と鳥類の脳の比較ができれば良いかなと思います。


■ 参考 ■
  • ヒトの神経系は、100億個以上もある神経細胞(ニューロン;neuron)によって構成されている。神経組織にはニューロンの他にグリア細胞があり、神経細胞の栄養や支持細胞として働いている。