ぶらり香港一人旅 勝手にレポート!(2006.3)

【最後に】
ここは個人的な勝手な感想です。
数日香港を歩き回っただけの少ない情報からあれこれ考えているのでかなり一方的な考えだと思いますが、あしからず。

それでもよろしければお読み下さい。

 ざっと駆け足でレポートしてみました。
私は体力には自信があるので、とにかく歩きまくり、いろいろなものを観察しました。目をひくものは立ち止まって、しげしげと覗いたり、目的地に行くときと帰るときの道を変えて少しでも多くのものを見たり発見しようと試みました。お陰で文化の違いをたくさん知り、とても面白い旅になりました。
 一番の目的である経済状態ですが、香港という狭い土地の中に大きな貧富の格差があります。ホームレスもいました。路上の真ん中で物乞いをしている人は二人見かけました。麻薬の売買らしきことをしている人もいました。一方で、富裕層の象徴である高級車も多く見かけます。しかも、ベンツやBMWの中でもグレードの高い車が頻繁に走っているのをみると所得格差があることを感じます。香港は義務教育制ができたのが1970年頃だと聞きました。ですから読み書きもままならない人たちもいるとか。これが本当なら、今の香港の生活水準を考えると日本よりも急速に資本化の波に飲まれ発展し、富裕層と貧困層に二極化したように思います。お金をかければ子供は賢く育つと断言はしませんが、そういう傾向は否めないと思います。これは日本も同様で、日本も香港も偏った社会になって欲しくないと願います(資本主義の宿命だとは思いますが)。
 教育内容として、香港の書店(文房具のような感じ)で参考書を手に取ってみました。私は理科の教師なのでまずは生物の参考書を。学習内容は日本とほぼ同じです。数学の本も見てみましたが、日本でもお目にかかる内容がほとんどです。一つ気になったのは、以前行ったことのあるグアムでも同様でしたが、参考書の種類が少ないことです。たまたまかどうかはわかりませんが、私は日本の教育過程は複雑になりすぎているように思います。理科の教科書なら十種類を超え、各学校によって相応しい内容を教えることができるようにはなっていますが、実質は二極化を助長することにつながっています。例えると、化学を勉強すると食品についての知識が高まります。健康食品でこれはどうなのかな?と疑問に思えばあれこれ考えることができ、もしかすると粗悪な製品に手を出さなくてすむかも知れません。消費者生活センターなどではどんなときでも「消費者が賢くなることが一番の予防策」といいますが、例えばそのような化学の知識を教える高校と教えない高校が存在することは腑に落ちません。ちょっと強引な例ではありますが、教育課程の多様化が二極化の一因になっていると思うのは極言でしょうか。まあ、だからと言って香港あるいは中国が良いというわけではありませんが、少なからず日本よりも資源があり、人口も多く、香港だけで見るならば学習目標は日本と同程度なのかなと判断すると、今後十分に今の日本に追いつき凌駕する力を秘めていると感じます。
 香港では警察官はほとんど見かけません。その代わり、観光地の特色ではありますが、清掃員の方が非常に多かったです。美化が目的ですが、ブロークンウィンドウズ理論を考えると清掃員は街の治安にも役立っていると思います。非常に合理的だと思います。また、ホームレスの方でも街の鉄くずや段ボールを集めてお金を稼いでいます。とにかく夜の露店で汚くなった朝の街が、昼頃にはきれいになるのはすごいです。トイレの清掃だって手袋をしてスポンジを握って便器を洗っています。一日中店番をしながら競馬新聞と睨めっこしているおばさんをみると働かないよりはマシかと思います。日本と比較することは難しいと思いますが、労働力というエネルギーは感じます。
 また、語学力の違いは痛感しました。私は日本の教育の中で英語を勉強しましたので基本的な英文と自分の研究してきた科学論文は理解できるつもりです。しかし、会話は苦手です。香港の人たちのほとんどは広東語と北京語、さらに英語を話せます。理科や数学の参考書を見ても北京語と英語が混在しているものがたくさんありました。世界を相手にするためには言葉は大きな障壁です。そう意味では香港は有利だなと思います。ただし、英語が話せることがそのまま世界経済で戦えることにはつながらないので、一方的に日本が不利とは言い切れないでしょう。
 私個人の香港の経済成長予測としては、まだまだ日本の成長を追いかける雰囲気は感じました。とにかくどこへ行っても工事が行われており、変わり発展し続ける雰囲気があります。そして国を下支えする労働力や、小銭が人から人へと回転しているように感じました(株式市場では出来高と言って、出来高が多いということはそれだけ注目されていると捉えることができます)。
 中国の成長は実際にこれから中国に行ってみないとわかりませんが、香港滞在中はいつも中国の番組を見ていた感想からすると、やはり期待は大です。まだ所得が十分ではないせいか、化粧品や食品関係のCMが多く、日本では多く見かける車のCMがありませんでした。おそらく十年後くらいには一般庶民の所得も上がり、車を持つ時代が到来するのでしょう。また、時世の風も関係しますが、缶のプルタブは未だにステイオンタブになっていないし、無駄な包装もあります。何ヶ月か前に中国で公害が発生したとの報道もありました。現在の中国の発展は十数年前の日本に似ていると言われます。セオリー通りに行くと、ステイオンタブも無駄な包装も公害も・・・これから見直されて変わっていくのでしょう。そしてそれを商機と捉え発展する産業も出てくることは予想できます。
 短期的(2〜3年)には2006年現在の日本経済の盛り上がりの方が大きいですが、長期的(十年以上)には中国の発展が期待できると思いました。2008年には北京オリンピック、2010年には上海万博があります。もし、5年くらい日本で定期預金をすると思うのなら、中国に投資することは有効だと思いますが、リスクはいろいろありますので、断言はできません。

 最後に、学生時代に初めて一人でヒッチハイクに出たとき、言葉では表現できない貴重な経験を得ました。そのときの衝撃には及びはしませんでしたが、今回の香港一人旅はとても面白く、非常によい経験になりました。次は北京だ!

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